オーガニック野菜や有機野菜、無農薬野菜など様々ある農業独特の表現に、少し混乱をまねいている方もいるのではないでしょうか。スーパーやデパ地下で野菜を買うときも、値段や綺麗なものを選ぶことが優先で、表記までなかなか気が回らないなど、野菜を取り巻く環境はベールに包まれているように分かりづらいものになっています。
今回はそんな不透明でいまいちわかりにくい、野菜の育て方である自然農法と有機農法の違いについて触れてみたいと思います。
有機農法の表示の曖昧な「有機」というコトバ
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そもそも農法は一般的に農業用機械を使い農薬を使って害虫を駆除することで、見た目の綺麗な作物を大量に作る慣行農法が主流となっています。しかし、生鮮市場に選ばれる品種を作ることに注力したことで、残留農薬の問題など健康を害しかねないことが次第に明らかになり、減農薬や有機など言葉が使われるようになったのです。しかし、当初法的な整備が不十分であったため、出荷され店頭に並んだ野菜が本当に無農薬なのかという判断がつかない状況が生まれてしまいました。 また有機JASマークが定める有機野菜の定義は、有機肥料を使って育てられた野菜のことを指しています。農薬に関しては、定められた30種類の農薬であれば、農家に任せる体制になっているので、有機JASのマークがついているからといって、無農薬かどうかは判断がつかないのが現状です。
有機JAS規格は有機農業のマニュアルではなく、国際的にも通用するよう作られた規格(ルール)です。有機農業は周辺環境や天候等に左右されやすく、被害があれば農家は死活問題。そんな緊急時にも対応できる程度の幅を持たせるため、厳選された天然由来の農薬や肥料が指定されています。
— くまゆうけんスタッフ (@kumayuken_staff) 2013年5月29日
自然農法は究極の農業
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一方で自然農法は無農薬・無肥料に加えて畑を耕作しない、除草をしないというまさに何もしない放置状態を作り、自然の営みを最大限に生かして収穫をする農法です。従来のような化学肥料を直接野菜にかけてしまうと、その弊害で野菜の葉が黄色になり、野菜は枯れる原因になります。また化学肥料は野菜に残り、虫が寄ってくる原因になり、虫に食われないよう見た目を綺麗に保つために農薬を散布します。つまり、農薬の力に頼りすぎてしまい、自然の持つエネルギーを削いでしまっているのです。
自然農法はどうしても、育てる農家によって品質に大きなばらつきがでます。その土地にあった土壌の作り方やどう自然との共生を図るかによって異なってきますので、自然農法を実践して必ずしもいい作物が作れるわけではないのです。ただ、ビニールハウスやトラクターなどを使わず、本当に自然の営みを生かした作物を収穫できることは今後の可能性を大いに秘めている農法といえるでしょう。
農法ありきではなく、誰が作ったかに注目する
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これまで有機農法や自然栽培についてみてきましたが、結局は今まで野菜を作る生産者が「有機」と名乗ってしまえば、有機JASの定義があってないようなものなのではないでしょうか。どうしても名乗ったものがちという状況がまかり通ってしまっているのです。また、今の農業の仕組みでは農政・農協・農家みんなが得をする仕組みが成り立っており、「農」を「業」として事業が回るようにすることで精一杯になっているのかもしれません。有機栽培、自然農法とも、天候に左右されやすく供給量が安定しないことも今後クリアするべき課題でしょう。
まだまだ業界の古い慣習が残っている分、幾多の課題を乗り越えることができれば、新たに成長が期待される第一次産業。美味しい味で健康にも優しい野菜は何なのかを見分けるためにも色々勉強してみてはいかがでしょうか。
大事なのは農法ではなく、誰が育てた野菜なのかということ。有機や無農薬だということよりも、人にフォーカスし、信頼できる生産者で選んでほしいと思います。
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