芭蕉 出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)へ

2021/6/3(木)

芭蕉は最上川を下り、羽黒山麓にいたり南谷の別院に入ったのが6月3日です。

以後6月10日に鶴岡に赴くまで、羽黒山南谷に7泊、月山の山小屋に1泊して

出羽三山を巡礼することになります。


出羽三山については以下に説明を記載します。


出羽三山とは、山形県(出羽国)にある月山、羽黒山、湯殿山の三つの山の総称です。

月山神社は、天照大神の弟神の月読命を、





出羽神社は出羽国の国魂である伊氏波神と稲倉魂命の二神を、









湯殿山神社は大山祗命、大己貴命、少彦名命の三神を祀っています。



月山と湯殿山は冬季の参拝が不可能となり、羽黒山頂に三山の神々を合祭しています。

また広大な山内には百八末社といわれる社があって、やおろずの神々が祀られています。



出羽三山は、祖霊の鎮まる“精霊のお山”、人々の生業を司る「山の神」「田の神」「海の神」の宿る“神々の峰”にして、五穀豊穣、大漁満足、人民息災、万民快楽(けらく)、等々を祈願する“聖地”でした。

加えて「羽黒派古修験道」の“根本道場”として、「凝死体験・蘇り」をはたす山でもある。

すなわち、羽黒山では現世利益を、月山で死後の体験をして、湯殿山で新しい生命をいただいて生まれ変わる、という類いまれな「三関三度の霊山」として栄えてきたお山である。


三山が神仏習合であった時代、三山を抖擻(とそう)する修行を「三関三渡」といった。

羽黒山は観音菩薩(現在)、月山は阿弥陀如来(過去)、葉山や薬師岳は薬師如来(未来)とされ、それらの加護と導きにより現在・過去・未来の三関を乗り越え、湯殿山の大日如来(三関を超越した世界)の宝窟に安住し、即身成仏(生きたまま悟りを開く)の妙果を得るというものである。

裸足になって湯殿山神社のご神体に登拝するのは、大日如来と一体になって感得することである。

また湯殿山は神の世界ゆえ、古来より人工は許されず社殿を設けないのである。


江戸時代には、西の伊勢参りに対して、東の奥参りと称して、両方をお参りすることが「人生儀礼」の一つとされ全国からの参拝者で賑わいました。


芭蕉も湯殿山神社の御神体に登拝して詠んだ句

 『語られぬ湯殿にぬらす袂(たもと)かな』


「奥の細道」の本文では、

  『そうじてこの山中の微細、行者の法式として他言する事を禁ず。

   よりて筆をとどめて記さず。』


とあります。

決して他者に語らず、記録にもとどめずということなのですね。

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