アジアンタム展開中

2021/5/21(金)

4月,5月は花の季節。私たちの視線は勢い色とりどりの木の花や草の花に注がれます。でも花を付けない植物もどんどん姿を現しています。その一部をご紹介します。クジャクシダは日本のアジアンタム(アディアンタム adiantum)。ごくふつうにみられる夏緑性のシダです。展開しつつある葉は紅葉。

葉が開いてもまだ赤い色。幼い葉はまだひ弱です。それを守っている紅葉です。日本語のクジャクシダという名はクジャクの羽のような葉の形からきています。でも、学名はAdiantum pedatum アディアントゥム・ペダトゥムです。ペダトゥムの語源は”足”です。トリの足が想像できるでしょうか。そうは見えない?ではやっぱりクジャクの羽のほうがいいでしょうか。

英語ではこのシダの仲間をmaidenhair fern とも呼びます。「ヴィーナスの髪の毛」だそうです。 言葉は連想と切っても切り離せません。いろいろな文化の中でシダはどのように扱われているでしょうか。子供の本や大人の本の中でのシダはどんなイメージ?これを探すだけでも人生結構忙しくなります。


少し緑がかったクジャクシダの個体もあります。薄い葉がひらひらと軽やかに風に揺れる姿は涼しげです。


だいぶ緑になっているものも。6月末には皆鮮やかな夏の緑になります。


↓一方、フユノハナワラビはもう地上から消えつつあります。このシダの活動は秋から早春まで(これは少し前に撮った写真)。てっぺんに伸びている穂は花ではなく胞子葉です。でも花と言っても、果実と言ってもいいくらい目立ちます。

ジュラシックパークならともかく、今のシダの多くは林床にひっそり、花も咲かないので人の気を引くこともなく、踏みつけられることも多いでしょう。そんな花の咲かない植物に目を向けてみませんか。マニアックと言われてしまいそうですが、人が目を向けない分、自分のペースでゆっくり、深く楽しめるとも言えます。


いま満開はこのツツジ、サラサドウダン。


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