野生の植物と付き合う

2021/5/16(日)

6月半ばに花を咲かせるこの地域の固有種、サンショウバラ。だいぶ葉が伸びてきました。十分に太陽を浴びて繁殖のためのエネルギーを蓄えなくちゃね。サンショウバラガーデンを目指す私にとって「今年は何本の木に花が付くか?」は大きな課題。あんまり面倒を見てこなかったけれどなんだかわくわく。また後で経過をお知らせします。



バラは長い間人間を引き付けてきました。美しい園芸品種が無数に作られています。日本や中国の野生のバラもヨーロッパに運ばれて親種となっています。大きな花をつけるサンショウバラは園芸品種ではありません。野生のままです。荒々しさをむき出しにしているようにみえます。生きるのは大変なんだよと言いたげ。あんまり優雅という感じではないけれど。それが野生というもの。


バラ科(Rose Family) と言えばこれもそう。このファミリーはメンバーが多いので木本だけでなく草本も多様です。日の当たる場所にグランドカバーのように広がって、今、白い花をたくさん咲かせているのはシロバナノヘビイチゴ。果実は普通のイチゴよりだいぶ小さいのですが、それでもれっきとしたオランダイチゴの仲間。花が黄色のヘビイチゴを食べるのはちょっと躊躇しますけれど、このシロバナノヘビイチゴは美味。野生種であるということは、放っておいても毎年自分で勝手に成長するということ。当たり前ですが肥料もあげません。



..

雪のように白いユキザサ(ユリ科)。半日陰に良く見られます。




ウグイスカグラ(スイカズラ科) あとで赤い実になります。




ヤマシャクヤクがまだ咲いています。野生の風格。大好きな花なので再登場してもらいました。発芽してから花が咲くまでに7~8年かかります。植物って、花って、お店で買うものではなくて、育つのを見守るものです。忍耐が必要。子供を育てることと似ています(私はもうとっくに終えてしまいましたが)。



こんな風に野生の庭の花は次々と開いていきます。野生の植物が花を咲かせるのは決して人間のためにではなく彼らの真剣な生き残り作戦です。それぞれの植物は自分で自分にあった環境のところに落ち着き、広がっていきます。なかなか人間の言うことは聞きませんが、その代わり逞しさは人一倍です。


私たち人間、不要不急の活動を制約される日々が続きました。そんな時間の間に、こうやって特に他の人が振り向くわけでもない自然に、自分のやり方で向き合うと、楽しい発見が次から次へと出てくるから不思議。今まで外に求めていた楽しみ以外にも、豊かな時間は自分で作れるものだと考えられるようになります。災いは決して災いではなかったのかもしれません。今までとは違う道と景色に出会えそうだから。でもそれを伝え合う仲間ができるともっといいかもしれません。

この記事を書いたユーザー

不適切な内容を報告する