言葉のミニマリズム
2020/5/30(土)
突然ですが・・・
「A」と「B」の文章、どちらがわかりやすいですか?
A:『シリコンチップや銅線でできた人工知能は人間の脳と同じように自分で勝手に勉強するようなしくみをプログラミングされているため、人間と同じように勉強したり、本を読んだりして知識を増やしていき、その知識を使って人工知能自らが答えを出していきます』
B:『人工知能は自分で勝手に勉強していきます。そのようにプログラミングされたコンピューターなんです。人間のように勉強したり、本を読んだりして知識を増やしていき、自ら答えを出していきます。人間の脳と同じような働きですが、人工の知能なので細胞や血管の代わりに、シリコンチップや銅線を使います』
AもBも、内容は同じです。
しかしAは一文、Bは4つの文に分けています。
書きたいことが多いと、ついつい一文が長くなってしまいがちですが、
読む相手にとっては短い方が良いと思います。
というのも、短い文章は主語と述語が近く、言いたいことを明確にしやすいからです。
また文章は短い方が、テンポがよくなり、次の文にいくときに「間」を取ることができます。
伝える相手が「間」を利用して、頭の中で「絵」を描いてくれます。
長くなれば、反対のことが起きますよね。
字数といえば、140文字の制限があるTwitterが頭に浮かびます。
なぜ140文字なのでしょうか。
Twitter Japanの代表、近藤正晃ジェームス氏は過去のインタビューでその由来を語っています。
Twitterの創業者であるジャック・ドーシー氏が、日本の「わびさび」についての本を読み、
物事をシンプルにすると本質が見えるという美意識に共感したそうです。
こうした考えから、140文字の制限が生まれたんですね。
ちなみにSMSの文字制限が160文字になったのは、テキスト・メッセージの生みの親と言われる
Friedhelm Hillebrandの研究によるもの。
彼は実験を重ね、まとまった意味を伝えるのに必要な文字数は160文字であると導き出しました。
その後、別の機関が葉書に書かれる一文の文字数を調べた結果、ほとんどが150文字以下だということがわかったそうです。
また、短い言葉といえば、テレビ番組を見ていると目にする「テロップ(字幕)」。
出演者のコメントや情報を補足するために入れていますが、ここ数年のテレビ番組は、音声を消しても、
画面だけ見ていれば内容がわかるほど多用されています。
1つあたりのテロップの文字数は15文字。
これには理由があって、文字数が多いと視聴者は一瞬で理解出来ず、戸惑ってしまうのです。
人間が2秒で認識できる文字数の限度は15文字。
洋画の字幕もほぼ同じと言われています。
長い文章になりがちの方は、テロップやTwitterを意識してみてはいかがでしょうか?
ちなみにここに書いた事は、私が携わった「教養バカ」にも載っています。
本屋さん、ブックオフ、アマゾンなどで見かけたら、ぜひ立ち読みを♪