農薬を使用しない稲作の難しさ【稲刈り体験参加受付中】
2025/9/3(水)
山北町谷ケで田んぼを始めて10年目。現在の形でイベントを始めて7年目になります。
今回は農薬のお話です。現代では農薬そのものや散布の技術向上により環境や人体に悪影響が及ばなくなりつつあると言われていますが、私に出来る限りの安心・安全の田んぼ体験とお米を皆さんにお届けするために、これまで農薬不使用で栽培を続けてきました。ですが、農薬不使用を謳えるのは今年で最後になるかもしれません。
まず、農薬不使用の稲作には難しさがあります。
①農薬で改善すべき問題への対処
農薬を使用することで田んぼの雑草除去、イネに悪影響を与える虫や菌を抑えられます。私の田んぼでは農薬を使用しないため、雑草は手作業で除去するか水の管理で工夫して減らし、悪影響を及ぼす虫や菌の発生は許容し(というか諦め)てきました。
②「無農薬栽培」と「農薬不使用」
無農薬栽培は自身の田んぼのみならず、周囲から農薬が入り込む可能性も排除しなければいけません。完全な無農薬を目指すには技術を確立する以上に「田んぼ選び」が重要になります。私の田んぼでは無農薬のお米ではなく、「農薬不使用」のお米を作っています。
③周りの田んぼへの配慮
雑草が増えるとその種子が周りの田んぼへ入り込むリスクが増えます。また農薬を使用していないために害虫や菌が田んぼで発生すると他の田んぼに紛れ込む可能性があります。
③についてですが、近年温暖化によりカメムシが増加傾向にあり、来年から谷ケの田んぼ一帯でカメムシの防除剤の一斉散布が行われるようです。私の田んぼだけ散布を断ると発生源になるため勿論撒いてもらいます。
因みに、カメムシが発生すると斑点米といって粒の一部に斑点が出て、出荷する際の米の等級が下がり引き取り価格が落ちます(味は変わらないのですが)。近年では不稔被害といって、そもそも米が稔らなくなる現象が起きるそうです。こちらは大問題。
長くなりましたが、技術そのものよりも②、③といった外部環境による難しさが大きいです。農薬を使わない稲作は今年で最後になりそうですが、チャンスがあればまた挑戦してみたいと思っています。
さて、稲刈り体験は9月20日・21日に実施します。 田んぼが初めて、という方でもお楽しみ頂ける内容になっています。お申込みお待ちしております! https://helloaini.com/travels/8568