旅する読書会、須賀敦子輪読
2025/7/16(水)
暫くお休みしていた、旅する読書会を再開しました。
読んだ作品は、『遠い朝の本たち~「本のそとの物語」』です。
1992年3月発表の作品。
もう、30年以上前に書かれましたが
いま、読んでも、古いと感じません。
小さいころ、あまり、読書をしてこなかった私には
いまからでも、少しずつ読んでみようと
そういう気持ちにさせてくれるのが
須賀さんのよいところです。
モモタロウのドンブラコッコやスッコッコと
カチカチ山の話をミックスして
弟に聴かせたり
グリム童話の白雪姫のカガミ、カガミ、世界でダレガイチバンウツクシイ?
と従妹がいう、透き通った声など
冒頭から、須賀さんは楽しませてくれます。
お盆を迎える家族のできごとは
あまり、そういう体験をしたことのない私には
うらやましいと思える光景が書かれていました。
お盆の「おつとめ」は般若心経と「和讃」のことが書かれていました。
和讃を知らない私は、ネット検索して、You Tube で聞いてみました。
須賀さんのお気に入りは、「苅萱道心和讃」という歌で、石童丸にご執心。
泣かない約束で、祖母に物語を歌ってもらうのですが、わんわん、泣いたそうです。
この作品のオチも楽しいです。
62歳になっても、小学校2年生の気持ちを思いだし、作品に反映できてよかったと
思う私です。
というのも、幼いころの気持ちを、もう、思いだせなくなっている自分がいるので、
ここでも、作品に残してくれてありがとう・・と
思ってしまう偏愛・須賀敦子を再確認したりしています。
家族という礎が須賀さんにはあったので、
女性のありようを模索し、何かを探してヨーロッパへ行くなど
居場所を求めた須賀さんでしたが、ミラノ霧の風景を書いて、エッセーをたくさん書いていくうちに
自分の礎になったものに気づいていく。
そして、修道女の物語を構想するようになっていったと思うのです。
この作品には、須賀さんの家族の物語が書かれていて
楽しくもあり、その先に、次の小説が生まれる予感があるのです。
めるさんと
あーでもない、こーでもないと妄想しながら
作品を読みすすめます。
須賀さんの作品は、時に、ネット検索をいっぱいしたりするエッセーも多いのですが
今回は、昭和初期の世界を想像しながら、読みました。
それは、昭和一桁生まれの、母を思う時間にもなりました。
須賀敦子全集第4巻は
本について書かれたエッセーなので
皆さんの記憶の本が登場するかもしれません。
ご参加お待ちしています。