渋谷空中回廊が完成すると

2024/10/17(木)

渋谷空中回廊の完成は、2028年3月に予定されているマークシティーとヒカリエを4階部分でつなぐ、渋谷スカイウエイの開通を待たなくてはなりません。その空中回廊は、JR渋谷駅をホームのある2階の上になる、3階・4階の高さで囲むことになります。現在ご案内しているのは空中回廊の外側とでもいうのでしょうか、3つの高台である青山、桜丘、円山へ放射状に向かう通路と、それらをつなぐものです。

空中回廊の要となるのはスクランブルスクエアビルで、渋谷スカイのある2019年に完成した東棟と、2028年3月に完成予定の中央棟と西棟からなります。JRのホームの上にできる中央棟が地上10階地下2階、フクラスと向かい合う西棟が地上13階地下5階だそうです。工事中の中央棟と西棟は東棟とも一体となり大型商業施設が新たに誕生することになります。とはいえ、店舗などの入居は建物完成後すぐというわけではないのでしょう。それでも、駅の通路としては完成した形で使えるようになり、10数年振りかでやっと駅らしくなることでしょう。そして工事が始まる前の記憶を呼び起こすものは消えてしまいそうです。

それからの渋谷はどんな街になるのか。都市計画はあるものの、特定の組織が街づくりの具体的計画をしているわけではありません。建物ができることはわかっていても、その中がどんなものになるのかは、採算をみながら検討中の段階でしょう。

いずれにしても、現時点で空中回廊でつながっている建物のフロアーの様子は見ることができます。テナントが4年後も今のままというわけではないでしょうが、大きく変わることもなさそうです。駅から迷わずに歩け、エスカレーターで移動できる空中回廊でつながるビルは渋谷の中心になるに違いありません。特にその真ん中にこれからできるスクランブルスクエア中央棟と西棟は、渋谷のシンボルとなるデザインも期待されます。

一方、空中回廊の外、地上を歩くセンター街、公園通り、道玄坂、中央街、さらには宮下パークや百軒店など、これまで渋谷のイメージを作ってきた街がどうなるのかも気になります。東急百貨店がなくなったことをはじめ、生活の場としての買い物に便利な街とはいいがたい状態ですが、これからのことはわかりません。

まちがいないことは、渋谷は海外では東京の顔、日本の顔のようになっていることです。世界に例のない巨大な繁華街であることは確かで、すでにオーバーツーリズムの状態になっているかもしれません。それだけに、少なくとも、広くいろいろなことを告知する機能をもつ場であることは確かでしょう。

空中回廊を歩きながら渋谷のこれからを想像して見たいのです。このどこにもなさそうな光景はとても刺激的なので、歩いてみる価値はあるといえます。でも、落ち着いた風景を好む方、混雑は耐えられない方には残念ながら向かないかもしれません。

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