ダッチオーブン料理
2023/1/25(水)
ダッチオーブンがあると、焼く・炒める・煮る・蒸す・揚げるなど、幅広い料理に対応できるいわば”万能鍋”。これが一つあるだけで、キャンプ料理のバリエーションがうんと広がります。
鋳鉄製は、ダッチオーブンの王道。使い込むうちに油でコーティングされていき、まるでテフロン加工のような焦げにくい状態になります。深く黒光りする”ブラックポット”はキャンパーの憧れ!
水分や塩分がサビを促進させるため、使用後のメンテナンスは必須。またヒートショック(高温で熱せられた状態に、水を投入することで急激な温度低下をもたらすこと)に弱く、場合によってはダッチオーブンが割れてしまう恐れも。
私が愛用しているのはステンレス製のダッチオーブンです。
ステンレス製はサビが発生しにくく、家庭の鍋とほぼ同じ感覚で使うことができます。鋳鉄製には欠かせない、シーズニングやメンテナンスといった手入れも不要。
しかも軽量なので持ち運びもしやすく、最も扱いやすいダッチオーブンといえます。値段はそれなりにしますが、手間をかけたくない方にはステンレス製がおすすめ!
黒皮鉄板製は、製造過程で鉄の表面に皮膜をつけることでサビにくくしたもの。鋳鉄製よりもメンテナンスが簡単で、初心者に人気。ヒートショックにも強く、鋳鉄製よりタフで扱いやすいダッチオーブンといえます。
ダクタイルとは「強靭な」という意味で、従来の鋳鉄製よりヒートショックや衝撃への強度が高い素材。しかも素材自体がかなり薄く、軽量なので持ち運びもラクラク。
ただし取り扱っているメーカーが少ないため、少しばかり値が張ります。
ダッチオーブンの代表的な料理
焼く・ロースト・煮る・炊く・燻す・炒める・揚げる・蒸すとほぼすべての料理に対応できる万能鍋、ダッチオーブン。
そのうち「ロースト」「煮る」「揚げる」のおすすめ料理を紹介します。
ロースト:「ローストチキン」
<作り方>
鶏もも肉にフォークなどで両面に細かく穴をあけ塩こしょうをよくすり込んだ後、にんにく、ローズマリー、オリーブオイルとともにビニール袋などに入れて味をしみ込ませます。その後ダッチオーブンに野菜を敷きつめ、にんにく、ローズマリーとともに鶏肉をのせ、約20分ほどでできあがりです。
「豚肉のやわらか煮」
<作り方>
プレヒートさせたダッチオーブンに、豚肉をのせて中火で30分。その間に昆布だし、醤油、酒でだし汁を作ります。
30分経ったら、だし汁にネギ、生姜、にんにくを投入。さらにお肉を柔らかくしてくれるオレンジを入れると、より美味しく仕上がります。あとは90分ほど煮込み続けるだけ。
揚げる:「パリパリ唐揚げ」
<作り方>
鶏もも肉を食べやすい大きさに切り、下味用の調味料をもみ込んで1時間程漬けておきます。ダッチオーブンには2㎝ほどの油を入れ、180度に温め、肉に衣をつけて蓋をし5分加熱後、ひっくり返しカラッと揚がったら完成です。少量の油でも外はカリッと、中はふんわりできあがりますよ。
ダッチオーブンの正しい使い方とシーズニングのコツ&注意点
ダッチオーブンの使い方とシーズニングのコツ。
また、使用前や後のメンテナンス方法も紹介します!
鋳鉄製のダッチオーブンの場合、使用前にシーズニングという作業が必要になってきます(製品によっては、不要なものもあります)。
シーズニングとは、出荷前に塗られている「さび止めワックス」を落とし、鋳物の表面に油を染み込ませてコーティングする、いわゆる使用前の慣らし作業。ワックスを落とし代わりのオイルを染みこませることで、においや焦げがつきにくくなります。
この作業を繰り返して、こっくりとした黒色に仕上がったダッチオーブンを「ブラックポット」と呼び、使い込めば込むほど味のあるダッチオーブンになるというわけなんです!
「シーズニング」に必要なものは8つ!
さっそくシーズニングの手順を見ていきましょう!まず用意するものはコチラ。
・油(オリーブオイルが◎)
・ヘラ
・油性もしくは中性洗剤
・たわし(金属たわしはNG)
・キッチンペーパー
・野菜くず(何でも)
・リフター(あれば)
・耐熱性の皮の手袋グローブ
行程中、かなりオーブンが熱くなり煙も出るため屋外で行うのがベストですが、室内の場合は必ず換気扇を回しましょう!
STEP1:ワックスを洗い流す
ダッチオーブンにたっぷりと水を張り火にかけ、お湯を沸かします。ある程度熱が冷めたらたわしでやさしくこすります。こうすることでワックスなどがはがれ、浮いてきます。
STEP2:熱して乾燥させオイルを塗る
お湯を捨て、ダッチオーブンとフタを火にかけ弱火で20~30分熱します。熱さとの戦いですが、やけどに注意して頑張りましょう! ダッチオーブンを乾燥させ完全に乾いたら、やわらかい布などでオリーブオイルを塗っていきます。
STEP3:オイルを塗り焼きつける
内側・外側・フタもまんべんなく塗りましょう。オイルを塗ったら再び強火で熱します。黒光りする美しい仕上がりを目指して、できればこれを4~5回繰り返します!
STEP4:野菜くずをいためる
ここからは仕上げです! 皮やヘタなど何でもいいので、適量の野菜くずを鍋・フタの両方で炒めます。これを行うことにより、ダッチオーブンの鉄臭さを取り除きます。
STEP5:再度オリーブオイルを塗る
ダッチオーブンが完全に冷めたら野菜くずを取り除き、再度オリーブオイルを全体に塗り染み込ませてシーズニング完了です!
【重要!】シーズニング時の注意点
①金属たわし等は、使用NG(製品によっては使用OKのタイプもあります)。ダッチオーブンに傷がついてしまいます。
②洗浄は基本お湯だけでOK。汚れが落ちにくいときは、中性洗剤を使ってもいいです。クレンザー等は避けましょう。
③ステンレス・アルミ製のダッチオーブンはシーズニング不要です。製品によっては、すでにシーズニング済みのものもあります。
ダッチオーブンを正しく手入れ・保管しよう
ダッチオーブンは普通の鍋と違って、ただ洗剤で洗って乾かしておけばいいというものではなく、丁寧な後処理と適切な保管が大切です。正しい後処理と保管方法を見ていきましょう!
STEP1:汚れを浮かせて洗う
残っている料理を取り除き、水を数センチ入れて火にかけ、お湯を沸かしながら洗浄します。その際、洗剤を使わないこと! タワシでやさしく洗うだけで、きれいに汚れが落ちてきます。
STEP2:空焼き後に油を塗る
火にかけて水気を飛ばして、よく乾燥させます。完全に乾かした後、オイルを塗ります。
STEP3:ツヤが出たら完了
汚れが無くなり、オイルによるツヤが出たら完了です!
最後は収納時のコツについて。ダッチオーブン本体に薄く油を塗っているので、収納袋が油で汚れないよう新聞紙を敷いておきます。フタをしまう前に、湿気が内部に籠ってサビないように割り箸などを置いて、本体とフタに隙間が空くようにします。フタも同様に新聞紙で包んでしまいましょう。
【重要!】ダッチオーブンを保管する際の注意点
①重要なのはサビ対策。長く使わない場合は、しっかり後処理をして収納・保管しましょう。
②手入れの際、加熱したダッチオーブンを急激に水などで冷やさないこと。温度の急激な変化で割れることがあります。
③頑丈そうなダッチオーブン、意外と衝撃には弱くコンクリートの上に落とすと変形したり割れたりすることあるため、安定した場所に保管しておきましょう。