芭蕉 奥の細道 締めくくる
2021/8/29(日)
芭蕉は
「長月六日になれば伊勢の遷宮おがまん」
と旧暦9月6日に、木因・如行らに見送られて
木因亭の前から舟に乗り、水門川を経て
揖斐川を下っていきました。
奥の細道を締める有名な句を詠います。
『蛤の ふたみに別れ 行秋ぞ』
蛤と言えば、揖斐川を下ったの桑名の名物。
ふたみは、蛤の蓋と身、それと夫婦岩がある
ことで有名な二見ケ浦も表しています。
見送りの人々に何度何度も振り返りながら
(二見しながら)別れを惜しむ意味と
これから向かう伊勢神宮への期待が
含まれており、お見事というしかない。
この句は、西行法師の句を意識して創られて
いるようです。
二見に草庵を作っていた西行が詠った和歌
『今ぞ知る二見の浦の蛤を
貝合とて覆ふなりけり』
更に、芭蕉は奥の細道への旅立ちでの句
『行春や 鳥啼き魚の 目に泪』
と見事に対をなしています。
「行春」で奥の細道の旅を始め、
「行秋」で奥の細道の旅を締める。
お見事というしかありません。