無農薬・自然栽培のお茶を作って14年になります。私の住んでいる集落では、新茶の時期に一年間に飲むお茶を摘んで釜炒り茶を作ります。一般的に飲まれているお茶は煎茶で茶葉を蒸して作るのですが、熊野では大きな鉄釜で茶葉を炒って作ります。炒っただけでは発酵がすぐには止まらないので半発酵になり、中国茶の製法と同じであるためウーロン茶のような半発酵のお茶になります。
そして使う時にさらに焙じて「番茶」にして、郷土食である茶粥を作るのです。一番茶で作るほうじ茶は香りが格別!甘みがあって本当においしい。初めて飲んだ時にその香りと味わいに惚れ込んで、茶畑のある家を借りているほどです。そんな熊野のふるさとの味をお伝えしたくて体験メニューにしました。お茶を作っている関係で繁忙期には受け入れは出来ないのですが、味わいが濃くてしっかりしたお茶が出来る二番茶のシーズンから受け入れています。(茶葉の伸びる時期が気候により毎年確定しないので、お問い合わせください)。
無農薬自然で、剪定もしていないこだわりの畑や在来種の茶の木の話などしながら自分の手で茶摘みをしてもらいます。ある程度量が採れたら鉄釜で茶葉を炒ります。火加減が難しいので、様子を見ながら手早く炒ります。茶葉の色が変わってしなっとしてきたら火からおろしてむしろの上で茶もみをします。今では昔ながらのむしろが販売されていないのすごく貴重です。つまり、このような手間暇かけて作るお茶はほとんどないということです。長年使っているむしろには、茶渋がついてきらきらと茶色く光っています。地域のおじいさんは、誇らしげにその茶渋を自慢するのです。
おじいさんが元気でタイミングが良ければお茶づくりの指導をしてもらえます。地域では高齢化が進んでいて、あと5年も経てばほとんどの集落の人がいなくなってしまう。そうなると世界遺産登録である文化的景観を守ることができないと危機感を抱きつつ、出来ることには限界がある・・・・シカによる茶葉の食害もなどとそんなジレンマの話も少しお伝え出来たらと思います。
体験料とティータイム、お菓子付。2時間ほど摘んで揉んで、天日に広げるの一連の作業の合計が2時間半程度。乾かしている間に、熊野古道を歩くことも可能です。