谷崎潤一郎 「蓼食う虫」は関西の風流人をスケッチした作品です。
2021/3/3(水)
お話の骨子は
恋人のもとへ足しげく通う妻を持つ夫。
離婚を決意した夫婦の心情が描かれています。
二番目の妻を、
知人に譲った谷崎潤一郎自身の体験が基になった作品です。
そう思って読むと、とても生々しい(;^_^A
それ故に
主人公夫妻(谷崎夫妻)のエピソードは
ちょっと鬱々としたものがあって読んでいて居心地が悪いのです。
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が、それに対して
妻の父親が出てくるエピソードは、
がぜん風流になります。
昭和初期の人形浄瑠璃の公演の描写がとても興味深いです。
劇場の近くにある「芝居茶屋」で、食事をし
そこから仲居に案内されて劇場に行くなんて
今では考えられない風流な様子です。
人形浄瑠璃を観るにしても、桟敷で、
蒔絵のお重に入れてきた手作りのつまみを肴にお酒を飲むのです。
「おひとつどうどす?」
とお酌をするのは、お妾の「お久」
すばらしい・・・。
関西に移住した谷崎潤一郎が
伝統文化に魅せられていったことが、うかがい知れます。
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恋人のもとへ足しげく通う妻を持つ夫。
けなげだなぁと、思いきや。
彼は彼で、
見目麗しき馴染みの西洋婦人のいる娼館へ
通っていたなんて・・・(;^_^A
妻は、恋人を。
亭主は、娼婦を。
そして、義理のお父上は、お妾さんを。
なかなか複雑です(;^_^A