カフカの「変身」は、彼の観た悪夢を描いている。
2021/2/1(月)
主人公が、ある朝目覚めると「巨大な虫」になっていた・・・。
という不思議なお話ですが、これはいったい何を現しているのか。
実は、カフカ自身が明言してます。
これは「悪夢である」と。
では、まず、その作品自体をちょっと見ていきましょう。
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第1章
「グレーゴル・ザムザは、目覚めると巨大な虫になっていた。」
新潮文庫版では単に「虫」と訳されていますが
多和田葉子の訳では、
「生贄にできないほど穢れたもの」 と忠実に訳されています。
自分の存在をそこまで卑下することで
「もうボクのことにかまわないで放っておいてくれ!」 と
カフカが言ってるように思えてきます。
仕事や恋人との関係に翻弄され
もうすべてを投げ出してしまいたい気持ちが
実によく感じられます。
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虫に変身してしまったけれど
グレーゴル・ザムザは悲しんでいるようには描かれていません。
狼狽はするが、その状況をすんなり受け入れている。
むしろ楽しんでいるかのようです。
あたかも、そうなりたかったのでは?と思ってしまいます。
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反して、
勤め先から様子を見に来た支配人の驚きようたるや・・・。
よほど、会社勤めが嫌だったことがうかがい知れます(;^_^A
第2章
虫になったグレーゴルを目の当たりにして
母親が気を失ってしまいます。
それを見た
父親の怒りがすさまじい。
グレーゴルに「リンゴ」を投げつけるのです。
で、ついに「リンゴが体にめり込んでしまう」
カフカと父親の関係性が何となくうかがえます・・・(;^_^A
第3章
「虫」になると
家族は働き手を失ってしまう。
すると、家族の対応はどう変わって行くのか。
「変身」で描かれていることの一つは
自分が仕事をしなくなるとどうなるのか?
ということ。
生活のため仕事を辞められない
カフカが懸念していることなのでしょう。
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カフカの著作「審判」「変身」「城」と
連続して読み返してみると、
主人公がすべからく
居場所を徐々に失っていくことがわかります。
カフカの置かれている立場と見事に一致しています。
・流浪の民であるユダヤ人であること
・生活のためにしたくもない役所勤めをしていること
・強権的な父親の存在。
カフカは、心の叫びを作品にしているのです。
カフカの人生など、ちょっと語ってみました。(;^_^A
ご参考までにどうぞ↓