かつて侯爵が選んだ街を歩く

2020/12/12(土)

75年前の戦禍で焼け野原になるまで、東京の住宅地は庶民の家と特別な人のお屋敷から成り立っていたといえるのかも知れません。そのお屋敷は閉ざされた門の他は高い塀や、敷地を囲む住宅が目に入るだけだったのでしょう。


特別な人の典型が、今はない華族という家柄の人たちで、渋谷駅の西側にある旧山手通りの周辺には公爵家1邸、侯爵家5邸がありました。

当時の姿をほぼそのまま伝えるのは駒場にある前田侯爵家跡の重要文化財旧前田家本邸だけですが、その他のこの地の邸宅跡も往時をしのぶ手掛かりは残ります。

そして今、規模こそちがうものの、そのエリアがステータスを感じさせる邸宅地として、装いも新たに蘇りつつあるようなのです。


すべての街歩きは、そこにある物語を訪ねていくものともいえます。本所松坂町へ、高輪泉岳寺へと、12月14日前後に向かう人は今なお少なくないのでしょう。日本全国、観光地には何らかの物語があり、記念碑を求めてそこへ向かいます。


しかし、渋谷には銀座のような物語がないともいえます。ハチ公物語がそんなに魅力的とも思えません。銅像はあってもハチ公が飼われたていた家や、その終焉の地はほとんど知られていないからです。物語はそれで人を集めようという意図のもとに作られることもあるでしょう。そんな必要がないのが渋谷なのかも知れませんが。


渋谷は未来指向のまちではあるのでしょう。だからといって、歴史がないわけではありません。再開発の駅周辺で未来を見るツアーとは別に、繁華街に隣接する住宅地がどんな歴史から成り立っているのかを見るオンラインツアーの第一回を昨日開催しました。歴史を振り返ることで未来が見えてくるようです。


リクエストに応じてご希望の日時で1名さまから開催いたしますので、予約をお待ちしています。




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