コーヒーの役割。
2020/11/15(日)
昨日は清澄白河編のコーヒーショップツアーへ。
毎回いろんなひとに会えるのが楽しい。
待ち合わせはブックスりんご屋さんの前にしている。
最初がいちばん緊張するけど、それは参加者さんも同じなんだろうなとおもう。
集合して挨拶して、歩いてブルーボトルコーヒーに向かうのだけど、歩道が狭いので2、2で並んで歩く。
私は居酒屋でビール頼もうとして「すいません」って言ってもだいたい聞き取ってもらえなくて、スーパーで袋いいですって言ってもだいたい袋に入れられる派なので、けっこう意識して大きい声で話すようにしている。
ブルーボトルコーヒーまでは10分弱あるく。
最近は1軒目をそこにしている理由などを話している。
ブルーボトルはアメリカのオークランド発のコーヒー屋さんで、社長はもともとコーヒー業界のひとではないこと、日本には2015年に清澄の1号店ができて、いまは日本に19店舗あることや、清澄白河の他のお店のことなんかを話すことが多い気がする。
これらは調べれば出てくる「情報」なのだけど、わざわざ自分では調べないようなこともあるだろうから、最初はそういう切り口で話をはじめる。
無難といえば無難だけど、こういう普通の情報を出してみることで、参加者さんがどんな反応をするのか、こちらもみている。
ライブでツアーをつくるのに、大事なのは距離感だとおもう。
店舗時代からずっとそうなのだけど、じぶんが場をオーガナイズするときに、いちばん意識しているのは、「いいことの総量が増える方向にむかうこと」と「嫌な思いをするひとがいないようにすること」
絶対に満足させよう!みたいな気持ちではなく、(そうできたらうれしいけど)満足してもらえる準備は整えているけど、ホームランみたいなものを狙いにいくより、もっと基本的なこと、言葉遣いとか、間とか、相手が切り出しやすい空気とか、誰かが誰かの話を遮った時に、戻して言いたかったことを確認するとか、そういう、特別なことではないけど、重要なこと(だと自分がおもうこと)をしっかりやりたいなとおもっている。
このツアーでいちばん伝えたいことは、「コーヒーは自由でたのしい」ということで、今見えているもの、目の前のコーヒーとか、豆とか、マシンとか、スタッフとか、お店のつくりとか、そういうものの背景みたいなものをざっくりでも知ってもらうことで「決まってない」ということを伝えたい。
背景を伝えるというのは、具体的には、「意図を伝える」ということだとおもう。
生産の意図、精製方法の意図、焙煎の意図、小売、店舗仕入れ、技術、接客、それぞれがビジネスだから、それぞれに意図がある。
気候の変動や、季節や地形や標高などの要素がやっぱり動かせないぶんいちばん先に決まる条件になる、そのつぎに、国ごとの法律や、経済事情、宗教的なことや伝統や、ひととして大事にしている部分や生きていくために必要なことの条件、そのあとに、すこしちいさなビジネス的なことがくるとおもっていて、
目の前のコーヒーだけを飲んでいると、どうしても視野が狭くなりがちだから、つながっていることを意識してもらえるといいなと考えて、広く浅く知識を仕入れて、少しずつお伝えしている。
で、そこからそれぞれの関心領域が分かれていくから、それに合わせてもう少し具体的だったり専門的だったりの話をすること。ものすごく専門的なことをきかれたことはまだないけど、そうなった場合は迷うことなく、それぞれの専門方面へ橋渡しをする。
ローストならどこどこで話きいてみるといいとか、生産ならだれだれのYouTubeがおすすめとか、そんなふうに少しアドバンスな方向に。
この場だけでなく、どれだけ普段の生活に今日のことを活かしてもらえるかが勝負なので、興味をもってもらえるポイントに合わせてじぶんが ”より質の良い反応” をできることがなにより大事だとおもう。
「コーヒーは自由でたのしい」って知ってもらうことができれば、好きにつかってもらえる。
目的に合わせて好きにつかえる道具は長持ちするし活躍の場面がおおくなる。
コーヒーのいいところのひとつはその懐の深さだから、突き詰めても楽しいし、ダラダラ飲んでもたのしい。インスタントの日もあればマックの100円コーヒーの日もあっていい。お茶でもいいしフラペチーノでもいい。
「大事なのはおいしくてしあわせ、であって、他のことじゃない」
これは料理家の小林ケンタロウの「ごはんのしあわせ」という本の最後にあるエッセイの言葉なのだけど、まさにコーヒーもこれに尽きるし、ほんとうにいちばん伝えたいのはこれ。
それぞれの おいしくてしあわせ が生活の中にたくさんありますように🙏
という考え方で、やってまーす!
というお話でした。
いやあ今回も楽しかった。
みなさん ほんとに毎回、コーヒーの話きいてくれてありがとうございます。むちゃくちゃ楽しいです。笑