藍2025のふりかえりと来シーズンに向けて
2025/10/31(金)
2025シーズンの藍の手しごとの会が修了しました。
それぞれにご参加いただきました皆さま、心よりありがとうございました。
今シーズンの藍は、4月中旬の種まきからスタートしました。
5月には体験教室の中で、藍の定植を一緒に体験していただくことができました。
梅雨明けからの雨不足と猛暑のために、元来とても丈夫に育つ藍でさえ、今シーズンはかなり大変な生育状況が続きました。
10年近く自家採種しながら栽培を続けてきた中でも、こんなに厳しい年は初めてでした。
毎年生葉染めを楽しみにご参加くださる方が「こんなに藍の丈が伸びていない年は初めてですね」と仰ったくらい、藍は「満身創痍」でした。
農と暮らし舎の藍の手しごとの会は、いつも畑にある藍の観察から始まります。
もっと言うと、別の内容でご参加いただいた日も、必ず藍の成長過程を観ていただいてきました。
それは、畑が植物という「生きもの」を育む場であり、藍という植物が命ある「生きもの」であることを体感していただくことを、とても大切にしているからです。
簡易的なキットになっている藍の染料もあります。
化学染料のインディゴもあります。
染めることの楽しさや、手づくりの喜びは、そういう染料でも感じることができるでしょう。
しかし農と暮らし舎では、種を蒔いたり、苗を植えたりしながら、季節を通じて成長を見守った藍で染めることを大切にしています。
藍の生葉染めでは、参加者の方が自ら藍にハサミを入れて収穫します。
葉っぱを茎から摘み取って、ミキサーにかけて、染液をご自身でつくります。
だからこそ、あの空気に触れてふわぁ〜っと藍の色が現れる瞬間に
「藍が生きているんだ!色って生きているんだ!」
と新鮮に感動するのでしょう。
泥藍染めでは、染液がすでに準備されていて、藍の葉っぱで染めているという実感がないために、藍の生葉染めを一度でも体験された方を対象とさせていただきました。
それは藍の色が、藍の生命力の現れであることを、生きている藍から感じとっていただくことを大切にしたいからでもありました。
今夏の過酷な猛暑と水不足を生き抜いた藍。
生葉染めの時に、そんな満身創痍な藍の葉っぱに触れたからこそ、
「よくこんなに傷ついて大変なのに、それでも藍は色を現してくれるんですね」と涙ぐまれた方がいらっしゃいました。
食べることは、植物や動物の生命力を料理を通じて体内に摂り入れます。
染めることは、植物の生命力を身体の外側(皮膚)からとりいれます。
どちらも「命の移し替え」なのです。
藍を染めながら「命をいただいているのだ」という実感が、参加者ご自身の感受性で受け取られるからこそ、深い感動と「大切に使います!」という愛着の気持ちにつながるのでしょう。
今シーズンも、夏空色と深い青に、たくさんの笑顔と朗らかな歓声がありました。
一緒に手を動かしていた私たちも、そんな皆さんの様子にたくさんの元気をいただきました。
(正直いうと、この過酷な猛暑に私たちはかなりへばっていました…)
藍の命をいとおしく想ってくださる皆さんが、染めた藍の色をこれから纏う度に、藍は色という第二の命を生き続けるのだと思います。
この記事を書いている10月末には、藍は来年に命をつなぐために花から種になっているところです。
種採りする株以外は、根から抜いてコンポストへ。
これもまた何年か後には畑の土に還ります。
藍の命もまた循環の季節をぐるぐると巡っていくのですね。
今シーズンの藍の染めは修了しましたが、藍の命の循環と共に、私たちの暮らしはこれからも巡り続けます。
4月:種まき
5月:定植
夏:藍の生葉染め
秋:泥藍染め
農と暮らし舎では、この藍の育つ過程を私たちと一緒に体験していただく機会を設けています。
来シーズンは是非4月に種を蒔くところから、藍の手しごとをご一緒できましたら嬉しいです!
お会いできるのを藍の畑で心待ちにしています🌱
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