子供のころに読んだ一冊の本

2022/4/1(金)

戦争と平和の読書会、無事に一回目開催しました。

初回のゲストの方が選んだ本は、『アンネ・フランクの密告者 最新の調査技術が解明する78年目の真実 (「THE BETRAYAL OF ANNE FRANK」邦訳版)』で、ぼくが選んだ本は、加藤陽子『戦争まで』の2冊が今回のテーマでした。


自分自身が加藤さんの本を選んだのは、「戦争は、相手国の憲法(一番大切にしている社会秩序)を変える行為」ということが印象にのこっており、そこから特に今のロシア、ウクライナ情勢のキーワード、NATO、つまりは『軍事同盟とは何か』という問いにたいして、この本が、第2次世界大戦のときの日本、ドイツについて書いていたためです。また、戦争の複雑さ、例えば満州事変の調査をしていたレポートも、どちらが悪というのではなく、またお互いの社会秩序に対しての批判、攻撃をなしに、折衷案を模索している過程などが出ており、現実の戦争を何とか平和にしようという交渉のタフで泥臭い作業が複雑なものを複雑なままに描いているさまが、特に印象に残りました。


ゲストの方の選んだ、アンネフランクの78年目の真実は、『アンネの日記』というものが、社会的に認知度が高く、またアンネの父親が存命の中、『誰が密告したのか』という問いが当事者の手を超えて抜き差しならぬものになっていることからこの78年という歳月が意味を持ちます。ゲストの方は、実際にこのアンネの部屋にオランダに旅行に行った際に入り、感じたことがあったそうで、ことし出版されたこの本を読むか、読まぬか逡巡していた際に、この読書会を見つけていただき、読もうと決意したということで、主催者冥利の会でした。

子供のころに読んだ一冊の本が、しかも同い年ぐらいの少女の話で、それを手助けしていた人、父親の経営する会社やその社会的な位置づけ、そしてその人々のつながりの中で保たれていたものが、なぜこのような悲劇的な結末に終わるのか、その主観の日記では読み取れないことを、保管してくれるレポが時代を経て、出たのだと、よくわかりました。


どちらともおすすめの一冊の本ですので、このページを訪れていただいた方は、ぜひ手に取ってみてください。また、読書会も今後継続して行います。



体験

https://helloaini.com/travels/38072

この記事を書いたユーザー

不適切な内容を報告する