須賀敦子「ミラノ霧の風景」を読了・・だけど、ホストはミスった!

2021/10/26(火)

アントニオが連れて行ってくれたルッカの大聖堂の描写から始まる。

朝霧の中の記憶である。

今日は、最終章「アントニオの大聖堂」を読んだ。

 

トスカーナ地方の記述がたくさん出てくるので、イメージ画像はピサの斜塔を含むトスカーナの教会を紹介。




読みすすめて、ピサの大聖堂がガリレオ・ガリレイの振子理論ゆかりの建造物だったことを思いださせてくれた。

私は、洗礼堂には入ったのだけれど、ピサの大聖堂には入っていない。

 

美しい初夏のヨーロッパを、ジョットの絵画を思わせる樺色の丘をエニシダが一面に咲き乱れる様子で綴っている。

 

池上花暦を書いているけれど、この辺りではエニシダには、あまり遭遇しない。

そうしたら、ゲストさんはエニシダを自宅で育てていて、初夏には甘い薫りでいっぱいになると話してくれた。

私もエニシダの甘い薫りにつつまれてみたいと夢想した。

 

中国の文化革命の嵐は、ヨーロッパの若者にも波及し、古いものとの対立が激しくなった時期に、須賀さんの夫は病気になり、あっという間に亡くなってしまう。

夫の葬儀に駆けつけたアントニオはエニシダの花束を抱えていた。

 

さあ、これから終盤。須賀さんの作品は無駄がないというか、どの文章にも意味があり深いのだけれど、今回、エンディングが私の期待を裏切り、尻切れトンボのように終わっていた。

 

なんだかなあ・・須賀さんの作品とは思えない・・とゲストさんに伝えたら、

「風花さん、まだ、文章は続いていますよ。」

「えー」

私の大失敗!


文庫本の文字が小さくて、自宅のプリンターで拡大して朗読していたのだが、なんと、ミスプリ。

肝心な部分がプリントされていないというお粗末。

ホストは急いで原本を手にとり、ゲストさんに読んでいただいて、納得のエンディング。

 

~「ルッカだ、大聖堂だよ」という、かすれ声でささやかれた言葉と、霧の中に忽然と現れたロマネスクの白いファサード、そして柩のうえにおかれたエニシダの花束を思い出に残して、アントニオは、物語がおわると消えてしまう映画の人物のように、遠い国の遠い時間の人になってしまった。~須賀敦子「アントニオの大聖堂」より~

 

そうだよね、エニシダと霧でおわらなくては。

 

そして、私たちは「ミラノ 霧の風景」を読了。

どの作品も心に残るが、おたがいに、本屋で立ち読みして、その書き出しに心を奪われた「遠い霧の匂い」は特別だねと・・

 

乾燥した東京の冬には一年に一度あるかないかだけれど・・・・で一致。でも、どの章も心に深く迫ってきます。

 

次回は、11月2日15時~、全集1巻「コルシア書店の仲間たち」を読みはじめます。

基本は、毎週火曜日13時~読書会です。

ご一緒にいかがですか。



須賀敦子を読む<コルシア書店の仲間たち>

https://helloaini.com/travels/32589

 

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