夢中が集まるプラットフォーム「aini」では、日本全国でさまざまな体験を提供するホストが集まっています。この連載「コラボ企画インタビュー」では、その中でも企業や団体のホストのみなさんが体験を開催するまでの経緯や実施した内容、企画に込めた想いをお伝えします。今回ご紹介するのは、JR東日本が取り組んでいる「東京感動線」とのコラボ企画について。JR東日本の社員で東京感動線の取り組みを推進している川井恵里子さんと新藤友理さん、東京感動線との企画を担当しているainiの岡田恭平さんにお話をお聞きしました。

1.人気の体験は、よりニッチでマニアックな企画

──ainiと東京感動線がプロジェクトを始めることになったきっかけを教えてください。

川井:2018年、「東京感動線」の立ち上げにむけて動いていた時期に、私たちからainiさんの代表電話へアプローチさせていただいたことがきっかけです。魅力的な出会いがあり、感動体験ができる、個性的で心豊かな都市生活空間をつくるためにainiさんに協力していただけないかと思い、お話をさせていただきました。

当時はまだコラボ企画が行われていなかったので、ainiさんの企業との取り組みは私たちが初めてだったとお聞きしています。

──ainiでの体験はどのようにつくられているのでしょうか?

川井:「山手線を起点に、沿線の個性を引き出す」という東京感動線のコンセプトに合わせて、最初は山手線沿線の地域に縁があり、まち案内のできる人にホストになっていただく体験を開催していました。

中には、すでに体験を提供したことがある人にもホストを依頼させていただいたんですが、階段研究家や美術館の案内人、漫談家など個性豊かな人が多くいましたね。

体験を開催するごとに、ainiではニッチな分野ほど人気が出ることがわかってきたので、より専門的で希少性の高い知識を持った人、言い換えれば、マニアックな知識を持った人にホストを依頼するように意識していました。

また、ホストには私たちがつながりを持っていた人にもお声がけしていて。特に森の案内人の三浦豊さんに行っていただいた「森の案内人と巡る」体験シリーズはとても好評でしたね。

──最近はJR東日本さん自身がホストを務める体験も行われていますね。

川井:体験の提供の仕方が変わったのは、コロナウイルス感染症の影響でリアルな場で人が集まる機会をつくれなくなったことがきっかけです。コロナ禍になってすぐ、ainiさんに「親子でオンライン体験フェス」というイベントに出展させていただいたんですが、その時に初めて自分たちがホストとして体験を運営して。その経験から自分たちがホストを務める体験をもっとつくっていけるかもしれない、と考えるようになりました。

そこで初めて企画したのが「【JR東日本 東京感動線×明治神宮】神職と歩く明治神宮100年の杜」です。私たちは、駅のある地域の企業や寺社とつながりがあるので、その関係性を活かし、地域のみなさまにご協力いただくことで、貴重な体験を企画・実現することができました。

ゼロから自分たちで体験を企画することは、想像以上に大変でしたが、私たちが提供する企画の中で他の人にホストを務めていただく機会があると考えると、ホストになる経験をしておくことはすごく大切だなと感じました。

また、体験を提供する上でainiのみなさんに事務的なサポートをしていただけるのはすごく助かっています。私たちが考えるアイデアを全部受け止めて、実現できるように動いてくれたり、社内だけでは調整が難しいこともスピード感を持って調整してくれたりするからこそ、これまでさまざまな体験を実施することができています。

岡田:JR東日本さんと体験をつくらせていただくことで助けられている部分があるのは、私たちも同じです。東京感動線×ainiの企画では、ainiだけではつながりがなくて一緒に動けないような企業や団体などとの貴重な体験を多くつくっていただいているなと感じています。

2.体験づくりを変えた3つのターニングポイント

──印象的だった体験はありますか?

川井:「【JR東日本 東京感動線×松戸車両センター】車両展示&お仕事紹介」は私たちにとって重要なターニングポイントになった体験だと思っています。

この体験は東京感動線を担当している私たちとは別の部署である松戸車両センターが毎年行っていたイベントの代替として開催したものです。コロナ禍になってイベントが実施できない状況になったことから、別の方法で何か行うことができないかと相談を受けて企画を始めました。

内容として意識したのは、東京感動線×ainiが取り組む企画だからこそできる体験にすること。車両センターに関連する知識を深めながら、そこで働いている人の顔が見えたり、参加者同士の交流が深められたりするような企画を考えました。

実際の体験では車両センターの仕事紹介や撮影会を行い、参加者のみなさん同士のコミュニケーションが活発に行われていて、「人数も絞られていて、会場内の自由度も高く大満足でした」「コロナ禍でイベントが少ない中、車両センターで貴重な体験ができた」などのコメントをいただけたので、とても嬉しかったです。

この体験がターニングポイントになった理由は3つあるんですが、その一つ目はJR東日本が持つ資産を価値化して、有料の体験を行ったことです。鉄道会社である私たちだからこそ活用できる資源があることは認識していたんですが、なかなかそれを形にすることができていなかったので、この体験を通して改めて鉄道コンテンツのポテンシャルを実感することができました。

募集開始から数日で定員に達した体験だったこともあって、「こんなに人が集まるのか」と社内でも注目されるきっかけになりましたね。

二つ目は、現場の社員が発案した企画を形にできたこと。この体験は松戸車両センターの社員を中心に運営を行ったんですが、これをきっかけに、他の部署でも体験づくりに関心が高まり、幅広いバリエーションの体験をainiさんと一緒につくることができています。

会社として、これからは人が起点になるという方針を立てていて、ちょうど「コトづくり」をしていく風土ができつつあるところだったのでタイミングもよかったなと思っています。

三つ目は、参加人数が多かったことです。

この企画では1回に40人募集したのですが、それまでリアルな場で行われる体験は多くても15人程度。初めての人数規模だったので少し心配な部分もありましたが、ainiさんの力を借りて無事開催することができ、その後の体験の人数上限を増やす可能性を広げることができました。

──参加者の反応はどうですか?

新藤:私は2021年7月に実施した「【大人の仕事体験】バーテンダー直伝!ホテルのバーで魅惑のカクテル作り」の企画を担当させていただいたんですが、参加者のみなさんにはすごく楽しんでいただくことができました。この体験は、JR飯田橋駅から徒歩5分の距離にあるホテルメトロポリタン エドモントのバー「カルーザル」でカクテルづくりを行うのと、駅からホテルまでの道のりを歩いて飯田橋エリアの魅力について触れる企画で。正直なところ平日開催だったこともあって集客には苦労したんですが、昔JR飯田橋駅付近の学校や職場に通ってて地域に馴染みのある人や、その土地のことは知らなくてもバーに興味がある人などに参加していただきました。

バーテンダーや駅の社員など、普段直接話が聞けないような専門的な知識を持った人たちとの交流を通して、学びを得ながら楽しめる体験であったことがすごく喜ばれましたね。

岡田:本当に今新藤さんにおっしゃっていただいた通りの反応が多いですよね。東京感動線×ainiの体験は、遠方から来る人よりは開催地の近くに住んでいる人が参加者に多い傾向にあります。その中で多種多様なテーマを扱う体験が行われているので、その分野に興味のある人から、近所に住んでいてふらっと参加してみたという人など、さまざまな理由で参加する人が集まり、その人たち同士の交流が生まれているのが特徴だと思っています。

──体験を開催しながら、感じていることはありますか?

川井:ainiさんとの体験づくりを始めてからずっと大切にしているのは、参加している方々同士の交流が生まれることです。

参加者同士が自然とコミュニケーションを取っていつのまにか仲良くなっていたり、子どもが参加する体験ではその子どもを連れてきている親御さんたちがおしゃべりしていたり。強い興味、関心を持つ参加者のみなさんが一緒にひとつの体験をすることで、共通の話題が生まれてすごい場が盛り上がることが多いです。

まさに、先程紹介した三浦豊さんの「森の案内人と巡る」体験シリーズはその現象がよく起こっていて。都会の中にある自然のおもしろさを感じている人たちが参加者に多くいるので、私たちが何かしなくても参加者同士の会話が弾むんですよね。

これからもこうした体験を通して、東京の新しい一面を知れたり、楽しさを感じられるような体験をつくっていけたらいいなと思います。

3.好きなことに夢中なホストがこれからも輝けるように

──ほかに今後の展望はありますか?

川井:今まさに絶賛仕込み中なのが、1月17日~3月7日まで開催する「HAND|Have a Nice Day!in Yamanote Line(以下、HAND)」です。東京感動線の取り組みの中でも特に大きなイベントで、アートと音楽をテーマに山手線沿線で同時多発的にさまざまな企画を行います。HANDの中でも、ainiさんとコラボした体験をたくさん実施させていただく予定です。

これまでさまざまな役割を担って、体験を開催してきましたが今後は原点に立ち返って、地域の人たちが主役になり、ホストになる機会をより多くつくっていきたいと思っています。やっぱり地域の人と参加者が交流できる体験が、山手線沿線の暮らしを一番味わうことができるので、そうした体験を開催していきたいです。

また、長期的な展望としても、山手線という大きい媒体をフル活用しながら東京感動線×ainiの体験でどの駅も、どのまちも楽しんでもらえるような機会を引き続きつくっていきたいと思います。

岡田:本当に心強いです。ainiもまさに原点に立ち返ってこれからの体験づくりを行っていこうと考えているところで。プロじゃなくても自分の好きなことを人に伝えることができたり、好きなことで集まる人たち同士が交流できたり。そうした体験を開催することの楽しさに意識を向けて、今すでにホストを務めている人たちが輝ける機会づくりに注力していきたいと思っています。

前例がない中で試行錯誤を繰り返し、体験づくりの様々な段階を経て、これまでコラボ企画を開催してきたJR東日本 東京感動線とaini。両者が同じ想いや世界観を持って、体験をつくってきたことが今回のインタビューから伝わってきました。

山手線沿線に暮らし、好きなことに夢中でいきいきと輝くホストとともにつくる東京感動線×ainiの体験をこれからもぜひお楽しみに!

HAND|Have a Nice Day!in Yamanote Line
開催日:2022年1月17日〜3月7日
開催場所:山手線沿線各駅やその周辺施設

本イベントは「東京感動線」による「山手線沿線の駅やまちを舞台とした50日間のアートと音楽の祭典」です。
期間中、山手線の駅やまちなど、いたるところで、ライブペインティングや音楽ライブ、ワークショップ、街歩きなどのイベントを行います。山手線という多様な人々が行き交う駅という場所で、誰もが気軽にアートや音楽や創造体験に触れられる機会を創出します。

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