池上花暦 5月18日 多宝塔とカナメモチ
2021/5/19(水)
江戸の遺構1 国指定重要文化財 池上本門寺・多宝塔
この町に暮らして、初めてこの塔を見た時のことをよく覚えています。
境内の茶店から大坊坂を下りて、途中、鬱蒼とした木立の中に、赤いこの塔を見つけた時は、コンクリートでできていると思いました。
その後、この町の歴史を学び、これが八枚のまあるい木材を組み合わせた江戸時代の建造物であることを知りました。
しかも、日本製の漆塗り。
近づき、じっと、眺めて、「木でできている」と思った日を思いだします。
この塔は、天保2年(1831)の日蓮聖人550遠忌を記念して、日蓮の荼毘所に建立されました。
建立本願主は、江戸芝口講(現・新橋付近)の商職人を中心とした信仰者の集まりである芝口講中です。
この塔を建てる力を持っていたのですね。
屋外に建つ宝塔形式の木造塔としては日本唯一の遺構です。
塔の前には、芝口講中の名の入った石灯籠も建っています。
これを建てた大工や石工の見事な仕事ぶりを、今も見ることができる遺構です。
鬱蒼とした木立の中に白い花を咲かせる大きな木がありました。
高い所に咲くのでよく見えなかったけれど、カナメモチと思います。
生垣になっているカナメモチの印象が邪魔して、しばらく、カナメモチと同定できませんでした。
紫陽花が咲き始めました。