文字誕生前の経営データ

2024/8/16(金)

私紋スクエアのワークショップでは、私紋作りに取り掛かる前に、ハンコの歴史について軽く学びます。その時に出てくる人類最初の文字、楔形文字ですが、それ以前、人類はどのようにコミュニケーションをとっていたのでしょう。


粘土駒

紀元前7500年〜3500年、古代メソポタミアでは下の写真にある粘土駒を用いて、家畜や物品の数を数えるなどの管理を行なっていたそうです。今でいう、経営管理ですね。三角錐、円柱、球体は穀物の大きさを示しています。


出典:https://sites.utexas.edu/dsb/tokens/tokens/



時代は進んで紀元前3500年〜3100年になると、粘土駒の形も豊富になります。小さな穴は、ここに糸を通して駒を保管するためだったと推測されています。左上から右に、織物、壺に入った油、これはなんだか分からないそうですがナッツにも見えますね、麦。そして左下から、衣類、金属の塊、ロープ、羊だそうです。よく解読したと思いますよね。金属の塊はクロワッサンに見えるし、羊は豆電池にも見えます。


出典:https://sites.utexas.edu/dsb/tokens/tokens/



粘土駒を収める包み

紀元前3500年を過ぎた頃、粘土駒を収める包みが誕生。現代で言う、封筒ですね。これだけ大きいと駒の紛失の心配も入りません。


上司:2023年度の経営データはどこにある?社内のクラウドを検索しても出てこないぞ!

部下:先輩!先輩の足元に転がっています。

上司:おお、ここにあったか!穀物の大きさが棒グラフになっていて分かり易い資料だな。


出典:https://sites.utexas.edu/dsb/tokens/tokens/




ビール製造と経営管理

出典:Envato


粘土駒の数を数えれば経営管理はパッと見て把握できる分、直感的でわかりやすいのですが数が大きくなればなるほど複雑になりますね。例えば、ビールの製造本数と売上本数。もしも自分がその時代に生きていたとして、経営管理に携わる職に就いたら毎日、ビールの粘土駒作りに追われることでしょう。朝から晩まで、粘土をこねて、ビール駒を作って、穴を開けて、粘土が固まったらビールを製造した分だけ駒を紐に通す。そして売れた分だけ、紐から外していく。なんという試練でしょう。粘土駒の芸術性が評価されるのならまだしも、結局は数です。こんなに虚しい作業はありません。心が病んでしまいます。そこで誕生した(んじゃないかな〜)のが絵文字です。


絵文字誕生

ビールを飲む人口が増えた頃、シュメル人は粘土駒の代わりに、粘土板に原料:大麦、製品:ビール、製造期間、担当者名を粘土板の左側に、製造量を右側に示しました。

この粘土板によると、担当者はKu-simさん。37ヶ月に渡り、14万4813リットルを製造されたそうです。きっと上司からも良い評価を得られていたことを期待します。


出典:https://www.schoyencollection.com/24-smaller-collections/wine-beer/ms-1717-beer-inanna-uruk


この絵文字が発明された後、人類最初の文字、楔形文字の誕生に繋がっていきます。



テレパシー

2024年の現時点では自動翻訳機も格段と便利になり、言語の壁も以前に比べれば低くなりました。1000年後の3024年には、コミュニケーションをとる相手の大雑把な感情くらいはテレパシーのようなもので、瞬時に読み取れるようになるのでしょうか。相手の気持ちや感情は、知りたいようで知りたくないのが人間のような気もしますね。


私紋スクエアでは自分のしるしを作る、デザインワークショップを不定期で開催しています。

開催希望日も受け付けていますので、お気楽にお問い合わせください。



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