三島由紀夫と西伊豆と
2023/4/8(土)
宇久須を出た船は、岸の土がだんだんと黄色味を帯び、そこに点々と緑の松をあしらって、すべてが黄金崎の風景の予兆をなしているあたりにさしかかった。
昭和36年(1961)に書かれたこの小説。
なんと舞台が西伊豆町の架空の街です。
しかし、本当に西伊豆の描写がリアルで本当にこんな街ありそう!
と思ってしまいます。
それにしても、三島由紀夫はジオが好きなのかな?と読んでいて思ってします。
まだこの時は伊豆半島の古典が世に出回っておらず、でも、伊豆の自然って他の場所よりなんだか違うと思っていたのかもしれません。
途中で石を採掘しているシーンもありました。
昔は伊豆では伊豆石と言って、石をたくさん採掘していましたが現在はしていません。
まだこの頃はしていたのねぇと思ってしまいます。
ただ安山岩が採れると書いてありましたが、個人的には凝灰岩じゃね?と思ってしまったのですが、どうなのでしょう?分かる方いたら教えてください。
ジオが好きな人にはたまらない、西伊豆の自然をふんだんに描いてくれてありがとう!
という感じです。
しかも2行ほどですが、江川邸に住んでいた江川家のことも書いてありました!
作家さんって取材能力がすごいなぁ、よくここまで調べたなぁと関心してしまいます。
江川家の事も何かで知って、調べて、「なんかすごい家だな」と思って、たった2行だけでも書いてくれたのかなと、江川家大好きな私は思わずそんなふうに見てしまいます。
さて、
肝心の物語ですが、
もう、登場人物、全員変です。
三島由紀夫の小説読んでいると、登場人物全員変なのがお約束?なので、もうそれも折り込み済みなのですが、なんかもう素直に生きられない人たちが、なんかもうこじらせて、アララ…という。笑
この人だけはまともだろうと思っていた人もなんか急に変なこと言い出して、やっぱりこの人も変だったというオチ。
というか、え?ってびっくりし過ぎて、何度もそこを読み直したのですが、やっぱり変なこと言ってました。笑
あと、西伊豆でこんな事起きたら大騒ぎやないか。
とツッコまずにはいられません。
西伊豆は本当にのどかで治安はすごく良いので、みなさんご安心ください。こんな変な人ばかりではないです。いや、今どき小説の世界を間に受ける人もいないかっ。
でも、文章が本当に綺麗なので、結局三島作品を読んでしまうのです。
ジオ好きになぜかオススメしたい一冊です。