私紋スクエアをはじめた理由
2022/10/19(水)
ハンコのデザインコンペ
私紋スクエアをはじめた理由は、2021年の春、ハンコのデザインコンペに参加したことがきっかけでした。
コロナ禍で脱ハンコと叫ばれる中、なぜハンコだったのか?
有り体に言えば、グランプリ賞金300万円です。
ハンコのコンペを知った頃、設立初期からフリーランスとして携わってきたIoTベンチャーが3度目の死の谷に直面していました。
冗談半分に「ハンコのコンペで優勝したら300万円!懸賞金暮らしを目指すか〜」と言いながら、ハンコのデザインを考えてみることにしたのです。
これが始まりです。
最初は軽い気持ちで、こんなハンコがあったら面白いだろうな〜、と思いつくもの数案をスケッチブックに描き、PhotoshopやIllustratorを使ってデザイン案を起こしてみましたのですが、どれもガツンと腹に落ちてこないんです。
そこで、ハンコの歴史を調べようとハンコにまつわる本を手にとってみると。
ハンコの起源は今から約7000年以上も前に遡り、ハンコが最も栄えたのは古代メソポタミア文明の3000年間。
歴史を調べれば調べるほど、人がしるし(ハンコ)を作って所有する根源的意味は、今も7000年前も変わらないことに気がついたのです。
(ベンチャーはその後も運よく続いています)
ハンコも表札も『しるし』に変わりはない
それから『しるすこと』と現在の生活様式を重ね合わせた時、まず頭に浮かんだのは表札。
特に集合住宅ではセキュリティを気にして表札を掲げにくいことから、自分や家族だけに通じる『しるし』があったら、番号だけの殺風景な風景も変わるのではないかと。
また、ハンコの始まりは護符(お守り)として使われていたので、装飾品としてのハンコ=しるしも提案しました。
その結果!
ハンコのコンペには落選・・・
懸賞金暮らしの夢は消えたのです。
ハンコのコンペに表札と装飾品を提案したのですから、落選は当然の結果ですよね・・・
とりあえずやってみよう!
落選はしたけれど、まずは自分の私紋を作ってみよう!
自分と夫の私紋をデザインして、表札を紙で作ってみることに。
このモックアップを元に木工所を営む従兄弟に相談したところ
「いいじゃん!なんでハンコのコンペに落ちたの?」
そこです。ハンコのコンペに表札を提案したからです・・・。
それから数週間後、表札とゴム印が届きました!
烏゛屋(ガラスヤ)さん
表札ができてからさらに数週間後、雑貨店を営んでいた友人にここまでの経緯を話すと、
「面白いじゃん。ハンコのワークショップやりたいの?だったらうちの雑貨店を使ってよ」と休眠中のお店を開けてもらい、そこから約30名近くの友人の協力を得て、ワークショップの試験的運用を開始しました。
どうしたらデザイン経験、アート経験のない人でも2時間で「これが私のしるし」と言えるものができるか。
そうして改良を重ねていった結果、10月16日、ついに私紋スクエアのソフトオープン日を迎えることができたのです!
私紋の活用法
ワークショップの試運転を重ねる中、参加者の皆さんから様々な私紋の活用アイディアをいただきました。
例えば、名前は記したくはないけれど、自分のものと他人のものを区別するのに私紋ステッカーを使いたい。
- ビニール傘
- タンブラー(水筒)
- USB-ACアダプター
さらに
- 副業を始めるのに名刺に私紋を入れたい
- 定年退職後の個人名刺に私紋を入れたい
- 家族写真をSNSにアップするとき、子供の顔は私紋で隠したい
- 墓石に私紋を刻みたい
出ますね! 次から次へと出ます!
ハンコは紀元前メソポタミアから、エジプト、ギリシャ、ローマ、インダスと各地で発展を遂げましたが、現在も国民一人一人がハンコを日常的に使用している国は、日本と台湾くらいだとか。
職場や配達でのハンコは脱ハンコ路線で進めて良いと思いますが、しるす文化は私紋として発展させていければ、きっと個性溢れる楽しい風景が広がるはずです。
これからは、参加者の皆さんからいただいたアイディアを一つずつカタチにしていきたいと思います!
どうぞよろしくお願いします。