須賀敦子を読む <マリア・ボットーニの長い旅>

2021/9/29(水)

輪読、続いています。

先週は、表題のエッセーを読みました。

須賀敦子の「ミラノ霧の風景」12作品、どれを読んでも深く心に落ちるのだけれど、

この作品の主人公マリアがいなかったら、須賀敦子はイタリアに行かず、

私がのちに須賀敦子を読むこともできなかったかもと・・思った作品でした。

 

日本を出て40日目の1953年8月10日の朝、

貨物船でイタリア・ジェノワに上陸した敦子を迎えてくれたのが、マリアでした。


ジュノワ経由でパリに向かう敦子を迎え、駅まで送り、パリで心細い留学生生活をはじめた敦子に手紙をくれた人。


敦子24歳、マリアは48歳くらい。

敦子はフランス留学の夏休みを利用してペルージャにやってきてイタリア語を習得する。

留学生は2つの言語を習得しなくてはいけないらしい。

留学生活の節目にマリアは敦子を支援してくれていた。 


そのマリアが80歳になって、日本へやってくる。

三週間の共同生活のおしまいになって、敦子にたずねられて、マリアはその人生を語る。


母がユダヤ人だったこと、人に頼まれてパルチザンの男を自宅に泊めたこと。

男はつかまり、マリアはドイツの収容所に移送される。

さまざま、ヨーロッパの歴史を凝縮しているようなマリアの人生を知る。

 

私はマリアが日本へ来てくれてよかったと思う。

マリアとの出会いが、後々、イタリアのこと、出会った人のことを敦子が書く一助になったに違いないと思う。

マリアがいてくれたから、私は須賀敦子の作品に出会えたと思ったのでした。

 

ゲストさんと、敦子の気持ちになったり、マリアの気持ちになったり、

ヨーロッパの歴史をちょっと知ったりする。輪読はいいなあと思うのでした。

 

作品と離れておしゃべりも楽しい時間です。

ちょうど満月の日で、ハーベスト・ムーン(9月の満月の名)を教えていただきました。

10月は、ハンターズ・ムーンと教えていただきました。

私は、ローマのボルゲーゼ美術館などのおしゃべりをしました。






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